vol.9

世界に羽ばたいていく優秀な人材を生み出す。
それが私の夢

IGK代表
 明坂 暁幸(あけさか・としゆき)さん

大学生のラガーマンのもとに多くの子どもが集まってきた

 すべてのきっかけは、同志社大学に入学した最初の年、母親が勤務する会社の社長の高校2年生になる息子さんの家庭教師をしたことだった。とはいえ、ラグビー部に所属していた明坂さんは学業と練習に追われて忙しく、最初は乗り気でなかったという。
「授業は週2回、各2時間くらい。時間がもったいないので、授業の前後にランニングしていたんですが、教えている子が『僕も走りたい』と言い出して一緒に自主トレしたりして。そうこうするうち、近所で評判の札付きの不良学生なども加わってきたりして、生徒がどんどん増えていったんです」

小中高一貫教育、地域密着型の学習教室「緑風塾」

 単に授業で勉強を教えるだけでなく、服や髪形などのオシャレについてアドバイスをしたり、将来のことや身近な悩みなどにも親身になって応えていた明坂さんのもと、「大人になってもろくなものにならない」というレッテルを貼られていた不良たちもたちまち更正し、高校や大学に進学していった。子どもたちにとって明坂さんは、ドラマ『スクール・ウォーズ』の熱血先生が目の前に現れたかのような存在だったに違いない。
 2~3年後もすると生徒は100人を超え、同級生に講師を頼むなどして生徒を受け入れたのが現在、兵庫県川西市に3つの教室を持ち、小中高一貫・地域密着を特色とする学習教室「緑風塾」に発展していった。

児童養護施設の子どもと出会い、幼児教育の大切さを痛感

 そんなある日、明坂さんは臨床心理士として児童養護施設に勤める友人から「施設にいる子どもを見てくれないか」という相談を受けた。小学校の卒業を3カ月前に控えた子どもだったが、学力は掛け算の九九もできないレベルで、中学校に入学できないかもしれないということで支援を頼まれたのだ。
「引き受けた以上はトコトンまで責任を持つべきだと思って、つきっきりでその子の勉強を手伝いました。ドラえもんの『九九のうた』という教材を使って一緒に歌ったりして。はじめはこちらの言うことをまったく聞いてくれない子でしたが、めげずにつき合っていくうち、少しずつ心を開いてくれるようになり、中学に入学できるような学力をつけるまで頑張ってくれました」
 この経験が、児童養護施設に特化した学習支援教室フロンティアを成立するきっかけとなった。現在、同教室は大阪と神戸、奈良県などに9校の教室を構え、「学校の勉強についていけていない」、「支援学級に通っている」という生徒の学習支援に取り組んでいる。
「私が最初に勉強を見た子は、親からネグレクト(育児放棄)などの虐待を受けた影響から、机に向かって勉強するという習慣を持てずに育ったという背景がありました。その後、フロンティアにやってくる子の多くも、似たような境遇にあることがわかり、幼児教育の大切さを痛感しました」

ある人物の出会いをきっかけに実現したプリスクール構想

 やがて明坂さんの中で、0~5歳児を対象に英語の習得と幼児教育を組み合わせたプリスクールを開校するという構想が生まれていく。

IGKの園長をつとめる小松原智香子(こまつばら ちかこ)さん。自らパン教室も主宰するバイタリティあふれる女性だ。

「緑風塾の小学部や中学部では、早くから英語教育に力を入れてきました。英語は、受験対策でかなりの時間をとられてしまうものですが、英単語を覚える能力と基礎的な英文法を早いうちから身につけておくことでその労力が大幅に軽減し、国語や算数、理科、社会といったほかの勉強に力を注ぐことができるし、新聞を読んで政治や経済のことを知ったり、世の中の出来事に関心を持つこともできる。もし、0~5歳のうちからその準備ができれば、きっと大きな効果があるに違いない。そう思っていましたが、私自身、保育の知識も経験もありませんでしたので、なかなか実現することはありませんでした」
 そんな事情から、明坂さんの構想はしばらく寝かされたままになっていたのだが、友人たちのバーベキューパーティの場で、ある人物と出会ったことでイッキに形になりはじめる。その人物とは、幼稚園教諭、ANAの客室乗務員というユニークな職歴を持ち、結婚と出産を経て「子育ては私の天職」と熱く語る、小松原智香子さんである。
「幼児教育にもくわしく、英語が堪能で、情熱と持って子育てをしている小松原さんは、まさに私が思い描いていたプリスクールを形にするのに打ってつけの人でした。すぐにその場で意気投合して、ふたりで計画を立てていきました」

IGKは子どもたちが自然に国際感覚を身につけ、学びを習慣づけられる空間

子供のうちに本物を「経験」させるというポリシーにより、園内では一流のポップスやJAZZなどの音楽に触れられる設備を整えている。

IGKのデザイン設計は、「ゆっくりとアンティークになる家」を提唱している加藤伯欧さんのレジェンダリーホームが担当。加藤さんの哲学に共感した明坂さんが直接、設計を依頼した。

 明坂さんの構想は、小松原さんとの出会いによって、インターナショナルスクール型保育園「INTERNATIONAL GATEWAY KOBE(IGK)」という形になり、2018年4月の開校につながった。1歳~2歳は6人1クラス、3歳~5歳は15人1クラス。算数や理科、音楽などのテーマに沿って保育士が外国人のスタッフとペアを組んで授業を行う。
「各授業は、塾や学校で教わる授業というより、子どもたちが学ぶことに興味を持って、自分から調べてみたくなったりするような内容を考えました。英語はそのひとつの手段で、子どもたちが国際感覚を身につけるとともに、学ぶことを毎日の歯磨きのように習慣づけることを目指しています」

 IGKはまだはじまったばかりだが、ゆくゆくは第2、第3と拠点を増やし、子どもを預ける親たちの仕事場となるコワーキング施設を提供する構想もあるという。
「IGKで幼児期を過ごした園児が緑風塾へと進めば、小中高あわせて18~19年間をサポートすることができます。そこからやがて、世界に羽ばたいていく優秀な人材が生まれることが私の切なる夢です」
 その壮大な夢の実現に向けて、明坂さんと小松原さんの歩みは果てしなく続く。

IGK代表
 明坂 暁幸(あけさか・としゆき)さん

1972年生まれ。兵庫県出身。同志社大学経済学部を卒業後、家庭教師、および学習塾事業をはじめる。現在、小中高一貫・地域密着を特色とする学習教室「緑風塾」を兵庫県川西市に3校持ち、大阪、神戸、奈良県などに児童養護施設に特化した学習支援教室「フロンティア」を9校展開している。2018年4月、園長の小松原智香子さんとともに0~5歳児を対象にしたインターナショナルスクール型保育園「INTERNATIONAL GATEWAY KOBE(IGK)」を開校した。

使ってます!キッズリー
園長の小松原さんは幼稚園教諭の経験もあるため、親御さんとのコミュニケーションツールは紙の手帳を考えていたそうですが、キッズリーの機能を検討するうち、すぐにデジタルツールの便利さに気づいてくれました。園に子どもを預ける親御さんたちにとって、朝はとても忙しい時間帯で、手帳にメッセージを書くよりも、スマホを使ったほうが大幅に手間をはぶくことができますからね。園での子どもたちの様子を、家族でリアルタイムで共有できるという点に、とても魅力を感じています。