vol.1

保育の仕事を
もっとクリエイティブに、
もっと素敵にしていきたい

社会福祉法人あすみ福祉会 茶々保育園グループ
理事長・CEO 迫田 健太郎(さこだ けんたろう)さん

設立時からこだわってきた「オトナな保育園」というコンセプト

「ここ数年間、周囲から『コンセプトマン』と呼ばれていましたし、開き直って自分でもそう名乗っていました。それくらい、“オトナな保育園”というコンセプトを繰り返し強調してきました」という迫田健太郎さん。ビジネスの世界でIT化が進む1990年代後半、経営コンサルタントとして活躍した後、2003年から保育の世界に転身してきた異色の存在である。

 

“オトナな保育園”とは、子どもを必要以上に子ども扱いせず、同じ人間として対等に接するという1979(昭和54)年の開園以来からの基本姿勢を示している。実はこのコンセプトは彼のオリジナルではなく、埼玉県入間市の茶畑の真ん中に「茶々保育園」を設立した母の迫田圭子さんが実践してきたことを言語化したに過ぎないという。

 

ビュッフェ形式の茶々のランチの様子。手作りの温かい料理を、思い思いに楽しむ子どもたち

ビュッフェ形式の茶々のランチの様子。手作りの温かい料理を、思い思いに楽しむ子どもたち

「例えば当園の食事がすべてビュッフェ形式で提供されているのは、このコンセプトのあらわれのひとつです。一人ひとりがメニューや食べられる量を考えて取り分けることで、自分の“食”を意識するようになる。料理をおいしく味わうには温かいうちに食べることが大切ですから、みんなで一緒に『いただきます』をするのではなく、料理のそろったテーブルごとに食べ始めます。そうすると、好き嫌いのある子は偏った食べ方をしてしまうのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。こちらがキチンとした食事の場を整えれば、子どもたちは自分でマナーやルールを守ってくれるんです」

 

 

 

 

 

従来の常識をくつがえす、茶々のさまざまな光景

茶々むさしこすぎ保育園を訪ねると、従来の保育園の常識をくつがえされるような光景をしばしば目にする。まっ先に目に入るのは、その内装。木調のブラウンの落ち着いた色が基本で、赤、青、黄色といった原色はワンポイントに過ぎない。また、子どもたちが保育士を「先生」と呼ばずに、「○○さん」と名前で呼んでいるのにも驚かされる。

 

こだわりのウェアは、プロフェッショナルとして働く大人の姿を子どもたちに示すため。機能とカッコよさを備えた特別仕様だ

こだわりのウェアは、プロフェッショナルとして働く大人の姿を子どもたちに示すため。機能とカッコよさを備えた特別仕様だ

「子どもにとって保育士たちは“初めて出会う大人(社会人)”ですから、素敵でいて欲しいじゃないですか。調理スタッフのビストロウェアや保育士のエプロンが既製品ではなく、自分たちがデザインした特別仕様なのはそのためです。また、スタッフは一人ひとりが名刺を持っていて、保護者の方々や職場の仲間とあいさつするときは名刺交換をします。『先生』という肩書きがなくても、態度が悪くなる子は一人もいません。彼ら彼女たちが真剣に向き合えば、子どもたちは人間関係を自ら良好に保ってくれるんです」

 

“オトナな保育園”のコンセプトがすみずみまで行き届いているのである。とはいえ、園全体にそのコンセプトが浸透するには思った以上に時間がかかってしまったと、迫田さんはふり返る。

 

 

 

当初は理解されなかった異色の取り組み

異業種で働いた後に保育の世界にきたせいか、迫田さんが茶々保育園にやってきた当初、「自分が外国語をしゃべっているのではないか」と錯覚するほど、話が通じなかったという。例えば、業務を改善しながら継続していくには、Plan(計画)、 Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のPDCAサイクルが欠かせない。一般的なビジネスの場では常識のセオリーだが、そのような言葉で説明すると、まったく理解してもらえなかったという。

 

「それでも、意味を噛み砕いて説明するうち、少しずつ手応えを感じられるようになっていきました。茶々保育園グループでは年に2回、チャチャカルチャークラブ(CCC)といって、全スタッフが集まって情報交換をする機会を設けているんですが、業務改善のプレゼンテーションの中に『ウチは“オトナな保育園”なんだから、こうしたほうがいい』といった言葉が出るようになったんです。コンセプトは絵に描いた餅のように飾っておくものではなく、使ってもらわないと意味がありませんから、そんな風にコンセプトを自分なりにアレンジして新しいアイデアが生まれるようになったのは、喜ばしい変化でした」

 

子どもたちを預ける保護者の間でも、迫田さんの異色ぶりはなかなか理解されなかった。
「ただ、こちらは思わぬきっかけで道が開けました。私が園にやってきて6年目、我が家に子どもができたんです。それ以来、『正直を言うと、自分の子がいちばんかわいいですね。申し訳ないですけど、みなさんのお子さんは2番目以降になります』と打ち明けるようになったんですが、意外なことに、多くの方がそれをきっかけに私に心を開いてくれるようになりました」

 

 

 

「地域」から「社会」へと広がる茶々の思い

茶々保育園グループでは、2015年以降に開園した保育園に「ちゃちゃカフェ」を併設している。テーブルにはコンセントがついていて、子どもを迎えにきた保護者たちがスマホを充電しながらおしゃべりを楽しむ姿が見られるほか、園外の地域の人たちもその輪に加わることもよくあるという。

 

地域とのつながりは、「ちゃちゃマルシェ」でも活発だ。子どもたちが作業を手伝った野菜をはじめ、アクセサリー、せっけんなどの商品が並ぶディスプレイに地域の多くの人たちが並ぶ。フリマでもバザーでもなく、「ちゃちゃマルシェ」と名づけられているのは、この場が不要品をやりとりするのではなく、自分たちが心をこめたものを保護者や地域の人たちに提供する場ととらえているからだ。

 

2015年以降に開園した茶々むさしせき保育園に併設している「ちゃちゃカフェ」。今後も新たに展開中

2015年以降に開園した茶々むさしせき保育園に併設している「ちゃちゃカフェ」。今後も新たに展開中

茶々むさしこすぎ保育園に併設している「ちゃちゃカフェ」。

「ワークショップ」は子どもや保護者向けのものから、保育士のためのお金の講座などを開講。予約制・無料で園外からも参加できる

 

現在、茶々保育園グループは関東近県に12か所の保育園を展開。2017年には世田谷区に2か所を新設し、拡大を続けている。

「地域の一員として、子育て世代の人たちを支えることが保育園の使命ですが、私はそれだけでは充分ではないと思うんです。地域と地域を結ぶことで、経営方針やイベントの運営方法など、地域ごとに磨かれた知見をグループで共有したり、一つの地域を越えた人材活用ができるというメリットがあることはもちろんですが、保育園の存在を社会全体に認められることが私たちの使命だと思っています。保育の仕事をもっとクリエイティブに、もっと素敵にするため、これからも努力を続けていきたいと思います」

社会福祉法人あすみ福祉会 茶々保育園グループ
理事長・CEO 迫田 健太郎(さこだ けんたろう)さん

立教大学経済学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現・株式会社アクセンチュア)へ入社。その後、保育業界に転身し、現在は茶々保育園グループ(社会福祉法人あすみ福祉会)の理事長に就任。前職のコンサルティングの経験を活かし、自ら12か所の保育施設の経営を行う。2017年4月からは世田谷区に2か所の保育園が開園する予定。

使ってます!キッズリー
保護者の方々に好評です。「子どもを預けたあと、通勤中や休み時間に投稿された写真を見てニンマリしています」とか、「祖父や祖母もいつも楽しみに見ています」といった声が寄せられています。保育士の間でも、連絡帳を手書きで作成していたときと比べて大幅に手間がはぶけたという感想が出ています。インタースェイスがシンプルで、使い勝手がいいのが素晴らしいと思います。保育の仕事の意義や子育てに関する学術的な濃い話を書いて保護者の方々に伝えるにはまだ紙の冊子に頼るしかありませんが、kidslyへの告知と併用すると効果が高まるのではないかと感じています。